膠原病もそうですが、花粉症やアトピー皮膚炎など現代人のアレルギー疾患が増えている原因の一つは自説ですが、化学物質による毒作用発現の一つではないかと考えます。日本ではまだ毒性学(トキソコロジー)がまだマイナー位置にあります。
毒性物質の意図的摂取としては医薬品ですが、医薬品以外にも農薬・食品添加物・飼料添加物・家畜用医薬品・工業化学物質・環境化学物質・産業廃棄物などがあり、この100年の間にいまだかつて人類が体内摂取をしていなかったものが氾濫して身の回りにあるリスクが強く影響しています。医薬品ではサリドマイドによる奇形発生、キノホルムによるスモンの発症などがあります。
さらにはアスベストの問題、車の排気ガス、タイヤ摩損による微粒子摂取や、車洗浄に伴う化学物質で、アトピー患者が車整備工場で働くと非常に悪化したケースや、揮発性塗料を扱うアトピー患者で皮膚の粟粒状に隆起した所を掻き毟ると血に混じってベンゼンの匂いがした患者もいました。天然物質としては、フグ毒や漢方でも用いられるトリカブト(漢方では附子で生は毒性が強いので炮附子で毒性を弱めて用います)やコレラ毒素や最近ではO-157によるベロ毒素などです。
最終毒性として特に脂溶性による体外への代謝がしにくいことに由来すると思われます。これらは当然個人差があります。一つの問題として肝臓の解毒能力の弱い人、現代日本人の油の摂取が増えていること。牛乳・チーズなどの脂肪性の高いものの摂取が増えていることも問題であります。アトピー皮膚炎は皮層部より肌層部の炎症ですので免疫異常機能から発生物質がこの肌層部の脂質を傷めて行きます。そして皮膚のバリヤー機能を失わせて、あるものは夜間の寝汗が強く出たり、暑くても汗が出ず熱感が残ります。
化学物質の代表格は医薬品ですが、多くは肝臓から代謝され胆汁→大便と腎臓から小便へと体外へ排出されます。解毒代謝が弱い体質の人や腸内細菌との代謝産物の置き土産が小腸から肝臓毒素として免疫異常を起こすものと考えます。
侵入ルートは口から摂取して小腸~肝臓ルートと、アスベスト排気ガスなどの呼吸器ルートの二つがあると考えます。現代医学では対照療法が中心でステロイドで免疫異常を抑えますが、最近ではよくコップ理論が言われるようになってきました。アレルギー疾患が増える一方の原因は、これら解毒除去する考えがあまりないからだと考えます。西洋医学では薬を止めた後のリバウンドをよく言われますが、漢方を服用して改善したものはリバウンドがあまり出ないのも、これらコップ理論の毒物満杯を除去減少させているものと思われます。アトピー皮膚炎が良くなっている経過によく見られるのが便量の多さと小便量の多さ、生理的な正常発汗が見られるような事を経験します。
また漢方でアトピーには、解毒をする薬草をよく用います。古来から黄連解毒湯という4つの薬草からなった処方が用いられます。すべては色素を多くもっていて、私の考えでは色素で化学毒性を染色して体外に出しやすくしていると考えます。黄連解毒湯を飲むと患者はよく、大小便が増えます。また大青葉と言って藍染めに使う色料も有効です。以前白血病患者でCRPが10近い数値でロの中に一杯の口内炎が多数できた患者で舌は萎縮して真っ赤になっていましたが、大青葉の粉を口の中に塗っていただくと数日で減少して楽に食事ができるようになって喜ばれたケースがあります。これら小腸~肝臓の毒素代謝に有効と思われます。これは漢方では血分病と称して舌にイチゴ舌が見られたり、舌喧紅で脈は左脈が特に反応していて、肝臓胆汁と小腸粘膜から排出を促す努力を考えます。
肺経ルートは気分病と称して骨折に使う石膏を用います。当然石膏は煎じても石膏中のミネラルが溶出して軽いので五臓の一番上部にある肺臓へ行き呼気中の水分や皮膚からの不感蒸泄となって邪熱を清熱します。これらは脈が搏動して弓を弾くような弦脈を兼ねて見られることが多いです。