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新型コロナウイルスの漢方的臨床想定分析④(前田)

新型コロナウイルスの漢方的臨床想定分析③(前田)

↑③の続きです

半表半裏証から邪が裏に入ると肺炎ステージになると思われる

この場合の中国で起こっているCOVID19 肺炎患者の舌象をみると
①苔黄~焦黄で燥苔
②舌前苔剥
③または舌前偏紅

  • と②と③の混合舌象となりやすいようである。
  • は少陽病証で湿痰が化熱して邪が気分リンパで勢いを増し痰熱が化燥している
  • 半裏の肺陰虧損をおこしている状況で、脱水時期
  • 舌前が赤く充血している(営血熱伏)

で老人は陰虚脱水体質や基礎疾患(心臓疾患の心絡血瘀・呼吸器科疾患の肺気陰両虚)
をもっている人は重症化しやすいと考えられる

 

中国の公開資料で<処方出拠>; 董和先生より資料を頂く

;中国国家衛生健康管理委員会弁公室・中国国家中医薬管理局弁公室

中国対策情報(国中医薬弁医政函[2020]22号)

〖処 方 名〗:清肺排毒湯(計21種類生薬)

〖起源処方〗: 麻杏甘石湯、射干麻黄湯、小柴胡湯、五苓散からの加減方剤。

〖薬物成分〗:麻黄・炙甘草・杏仁・石膏・桂枝・沢瀉・茯苓・白朮・猪苓・柴胡・ 黄芩・半夏・生姜・紫苑・款冬・射干・細辛・山薬・枳実・陳皮・藿香

〖使用方法〗:煎じて1日1剤、連続3日間服用する。臨床症状によって更に3日間の服 用も可。(但し、症状に応じて処方を加減する必要がある)

〖適応〗:コロナウイルス感染症の軽症型・普通型・重症型

〖処方出拠〗:中国国家衛生健康管理委員会弁公室・中国国家中医薬管理局弁公室

〖情報性質〗:公開資料

となっている。

 

※前田の考えるところでは

感染予防・無症状陽性ステージ

冷たい物を避け温かいものをとる 生姜湯 甘酒+生姜 黒砂糖+生姜

感染初期

感染初期の段階は辛温発汗で湿を茯苓を加味した

  蘇羌達表湯 兪氏経験方(赤茯苓・杏仁各8;紫蘇・白芷各6;防風・羌活・生姜各4;廣橘紅適量)
正傷寒証ではないので麻黄・桂皮は使わない(悪寒が強くない)

蘇葉が君で辛散で経絡の風寒を散じ、臣の羗活で筋骨の風寒を辛散、防風・白芷で肌肉の風寒を辛散、佐薬の杏仁・橘皮で軽苦微辛で筋骨肌肉の風寒を引き皮毛より出す。

使薬の生姜・茯苓で停水を患いを発汗不備にならないように配慮。

エキスでは荊防敗毒散+五苓散(茯苓飲)あたり。またはだるさ・嘔気・下痢で湿鬱が強いときは荊防敗毒散+藿香正気散

感染中期(倦怠期)

※倦怠が中心で熱感は強くない・食思不振・鼻漏

小柴胡湯(和解兼益気)+寒湿で 五苓散 ただし黄苔はなし 白胎苔
※頭痛・身体痛で表証が強い 柴胡桂枝湯
※咳喘で夜間咳がひどくなる 

小柴胡湯+麻杏甘石湯 炎症がひどくない場合 柴朴湯 小柴胡湯+半夏厚朴湯

※咳嗽で胸痛を伴う 苔が化黄で舌前充血へ移行 柴陥湯

※痰が切れにくい。苔はやや黄色で粘から乾燥化燥で舌紅へ移行しつつあり

竹茹温胆湯が考えられる

元来の老人で肺陰虚体質で咳嗽が伴うものには天門冬・麦門冬入った清肺湯エキス

舌紅で化燥気味で肺陰虧損は始まる

竹葉石膏湯  麦門冬湯+白虎加人参湯エキス

感染重度期(非定型肺炎期)

乾性咳嗽・発熱・胸痛・頻脈・低酸素血症などで入院している状況
人工呼吸器を着けている呼吸促拍状況の環境状況なので、薬局対応は、省略します。

ただ気営両燔で舌偏紅で乾燥舌を想定すると清瘟敗毒散などを考えるが、
気血両清を考えると。
エキス漢方では 上記竹葉石膏湯(麦門冬湯合白虎加人参湯エキス)+竹筎温胆湯や柴陥湯の黄連で凉血解毒、WBC↑↑、CRP↑、赤沈↑、血分鬱熱が強い状況には養陰解毒対応になるや一貫堂の柴胡清肝湯などを加味するとか、牛黄剤で開竅解毒などで疫毒対応していくを考えます。

回復期

回復期にPCR検査陽性から陰性になっても再び陽性になることから、
半表半裏の少陽の位置に伏邪として潜伏している可能性があり、傷寒論の弁陰陽差後労復病脈証并治3条※に感染病(傷寒)が癒えたあと再び発症するとして、感染後(傷寒後)の余熱未清で、
再度PCR検査陰性から陽性で脈浮くものは小柴胡湯で汗解させる。

まだ伏邪が半裏に腸胃の外と少陽膜原の接する境界に前回に受感した邪熱を十分に透熱下泄できず、
少陽裏から腸胃の近位で余熱未清で潜伏した伏邪が裏発したときには脈が沈実には大柴胡湯などで下して、
蕩滌下泄すると説明しています。

※傷寒論の弁陰陽差後労復病脈証并治3条
「傷寒差以後更発熱、小柴胡湯主之。脈浮者、以汗解之。脈沈実者、以下解之」

傷寒論太陽病脈証并治103条
「太陽病、過経十余日、反二三下之。後四五日、柴胡証乃在者、先與小柴胡。嘔不止、心下急、鬱鬱微煩者、為未解也、與大柴胡湯、下之則癒。」

あたりを推定しているが、基本はやはり随証治之で患者に応じて弁証論治が必要と考えます。

 

前田