7月に入って気温がぐんぐん上がり、梅雨の合間ながら晴れた日には強い日差しが降り注ぎ、うだるような暑さになってきました。
そこで、今回は夏の養生について書きたいと思います。
季節に調和して過ごすのが漢方の基本ですが、とりわけ夏の養生は大切です。
日の光のもと、木々の緑がもっとも生い茂る夏は、人間にとってもパワーを蓄える大切な季節で、
寒くなっていく秋や冬に備え、しっかりと体を準備する時期に当たります。
高温多湿な日本の夏で気をつけたいのは「暑さ」と「湿気」です。
暑い日が続くと熱が体内にこもり、熱っぽさや口の渇き、不眠などの不調が現れます。
また、汗をかき過ぎると体内の潤いと一緒に「気(エネルギー)」も消耗してしまうため、
エネルギー不足から疲れやだるさを感じることも多くなります。
こうした不調を和らげるには、余分な熱を冷まして水分を補給することが大切ですが、
ここで注意したいのが身体の”冷やし過ぎ“です。
暑いからといってアイスやビール、冷たい飲み物ばかりとっていると、
「脾胃(ひい)」(消化器系)が冷えて働きが悪くなり、消化不良や食欲不振や下痢などの原因になります。
また、湿気の多いこの時期に水分を摂り過ぎると、体内に「湿(余分な水分や汚れ)」が溜まって
脾胃の不調を招くことにもつながります。
特に気をつけたいのが、冷房などによる冷え過ぎで、室内と外との気温差が大きすぎると、
体温調節がついていけなくなり、自律神経のバランスを崩すことになります。
夏に冷えをためこむと、そのときに症状が出なくても、寒くなった秋や冬になって、ひどい冷え症や生理痛をまねく危険性があります。
夏の不調から身体を守るために、以下の点に気をつけて元気に夏を過ごしましょう!
◇体のほてりを鎮める涼性の食べ物をとる(スイカ、きゅうり、ゴーヤ、なす、トマトなど)
◇汗をかいた後はこまめに水分補給する(室温程度のお茶などを適量飲む)
◇暴飲暴食を避け、冷たいもののとりすぎに注意する
◇エアコンの設定温度を下げすぎないようにする
(調節できない建物内では重ね着などの対策をして体を冷やしすぎない)
◇外出の際は帽子や日傘などで強い日差しから体を守る
◇適度な運動をして、十分睡眠をとる
薬剤師 近藤尚美