【創業33年漢方専門薬局】不妊症や様々な病気を東洋医学的観点から根本的解決へと導きます

子供のアトピー

アトピー性皮膚炎は見た目以上に色々複雑な病気です。

ステロイドが良いだの悪いだの結局根本治療をしない西洋医学もあれば、東洋医学も根本体質を改善するとはいえ、発症からの経過が長く、経絡がズタズタになっている状態で臓腑弁証をしても思うように効果が得られないことも多くあります。

また見た目に振り回され炎症を単純に冷やすことで逆に炎症が悪化したり、乾燥に対して潤いを与えることで悪化したりなど、アトピーで困っている人は多い中、治療はなかなか上手くいっていない人も多い病気ですね。

色々と謎の深いアトピーですが、子供と大人で考えると大きな違いが出てきます。単純に言えば、いろいろな影響をまだ受けていない子供のアトピーは単純で、色々なことをしてきた大人のアトピーはかなりこんがらがってしまっていることが多いです。

また、子供は稚陰稚陽といって見た目も小さいことからわかるように、陰の器が小さく、また機能面の陽も小さく、時に暴れやすいです。

そのためそれを受けきれない症状が色々と出てきやすいのが子供で、例えば急に怒ったり泣いたりケロっと笑ったりするのが子供です。

同じように、胃腸なんかも大人と比べ、かなり弱いです。

大人の感情のようにほとんど尾を引きません。

そのため悪いものを食べすぎるとお腹を壊したり、それこそ皮膚が荒れたりしやすく、また逆に少ししか食べれないとすぐにやせ細り、元気もなくなりやすいです。

余分にため込むということがほとんどできていないためです。 そこでアトピーですが、子供のアトピーは悪いものの摂りすぎで胃腸の汚れが肌に症状が出てしまっているか、もしくは栄養不足で皮膚に栄養を送り込みづらく、皮膚の防衛力が落ちて症状が出るか、もしくはもう一つの考えでは半表半裏という外側でも内側でもないところに風邪などの邪が内伏し、何かのキッカケで肌に出てきたりなどが基本と考えています。

大人の場合はそれらが混合しているため、単純な漢方では効きづらいと考えています。

またステロイドの長期使用している方も多かったり、ステロイドを使用していなくても恒常的に炎症が続いたり乾燥した皮膚が続くことで肌の膜層の枯渇を生み、肌質のバリア機能が根本的に壊れてしまっていたり、ステロイドで症状を抑えていることで弁証をより難しくしてしまっています。

このように原因は簡単に思われる子供のアトピーですが、しかしながら厄介なポイントはあります。 それは子供だから症状を上手く伝えられないということと親の介入がとても大きいことです。 僕も親ではあるので、気持ちはとてもわかりますが、子供の症状に対しかなり過敏に反応するのが親です。

症状には良くなっていても多少の波があるのですが、それに対し神経質になりすぎることが子供に伝わり、子供を思う気持ちが負担になってしまうことがあるので、子供のアトピー治療の1つめのポイントは親が焦らないこと。

これをまず理解させることから始まります。

そして2つめのポイント「子供自身が症状を正確に伝えられない」に関しては親の言っていること、子供の言ってる事は聞きますが、それは100%の素材とはせず、やはり肌の症状、出ている場所、痒がっている時間の目安、また舌や脈などの問診以外での情報を重視して見ていきます。

子供の症状はシンプルなので、それで大まかに判断できてきます。 逆に大人のアトピーに関してはそれだけで判断できるほど簡単ではありません。 一人、例を挙げると、今年の夏に暑さに伴いアトピー症状がひどくなった子供を見ました。

弁証し、お薬を飲んでもらうと3日で範囲が広がり、痒がることも増えたとの親からの報告。親はお薬が合っていないのではないか、ということも含め、連絡しましたが、身体の状態を見るに薬は合っているという自信があったため、続けてお飲みいただくように指示。

またその際に悪化した要因としては、漢方を飲み始める前から悪化傾向にあり、また飲み始めてから外気はとても暑い3日が続きました。なんとかそれにも対応できたらという思いはありましたが、どうしも飲み始めでその症状に間に合うことはなく、悪化の一途として漢方を飲む飲まないに関わらず出た症状を、たまたま漢方を飲んだことが悪化のポイント考えこんでしまい、親は合っていないのでは?

と見ましたが、結果、それから3日、飲んでいただくと、ベロッと皮が取れるなどあった後に、そこから綺麗な皮膚が見え始め、それから2~3週、お薬を続けることで、お盆なども挟み、とても暑い日もあったのですが、そこからの悪化は全くなく、範囲や赤味、痒がることもすごく少なくなったとのことで、今も少し痕がありますが、ほとんど痒みはないと本人も照れながら言っていました。

このように、まずは焦らないこと。もちろん症状に合っているかどうかの前提もありますが、合っていても親の言うことだけに振り回されると、違う方向性のお薬を出してもっと状態が悪化していたと考えられます。

何も子供のアトピーに関わらないことですが、特に子供の症状の場合は親の声が大きいので、このようにしっかりと自分の治療に芯を持つことは大事です。想定外のことが起きても、しっかりと自分の考えの軸にそって考えれば、自ずと自分の治療法の最善を尽くすことができるのです。

薬剤師 櫻井 大輔