<主訴>
頸椎椎間板ヘルニア
◆後頸部~背部がしめつける感
◆右上肢(少陽三焦経の指先のしびれ感)
◆右下肢の母趾裏のしびれ
◆年末の傷寒(悪寒発熱→腹痛下痢口渇→食欲減退)後、現在下痢はおさまるも胸中~心下にかけてつかえる
<既往歴>
胃切除
脳梗塞
ビールをよく飲む
<切>
手掌発赤(熱感)→厥陰鬱熱
<脈診>
右略浮硬数(動)関↑ 左沈渋短数
→右浮数で風熱浮硬で月奏理?筋膜(血管膜)邪襲(風寒?)
動数で挟痰火或いは風痰
→左沈渋で厥陰脈で陰虚営渋化燥 渋数で陰虚伏熱 渋短で絡鬱淤血
<腹診>
両脇やや緊張 臍左腎経(衝脈)棒状緊張圧痛 左少腹抵抗圧痛
<舌診>
舌苔厚膩湿潤而底絳?紫舌 →湿遏熱伏或いは瘀熱
舌震 →肝風内動
中医学では頸椎症は「痺症」「萎症」「眩暈」の範疇
加齢にともなう肝腎虚弱や慢性疾患による気血不足の内因に風寒湿邪の侵入、頸部過労や外傷などの外因とのこと。
頸部は後入の太陽膀胱(裏少陰腎)横入少陽(裏厥陰)で 肝腎の虚の状態になっているときに、風寒湿邪に侵入され気血の運行を塞ぎ、頸部に営衛の鬱熱となり椎間環境を悪くして、「通ざれば痛む」で痛みしびれを生じていると思われる。
さてこの患者は舌白苔湿潤而底絳紫で湿遏熱伏で肌は艶つやしても手掌は発赤で熱い。
夏場では湿熱が基本も冷房や冬季の今回の傷寒罹患も傷寒挟湿で肌肉中の湿鬱が風寒邪に感応してために生じたと思われ、陽気不足による傷寒罹患でないため、悪寒発熱から腹痛下痢となるも、湿遏熱伏が体質のため、下痢を生じても口渇がある症状を呈していると思われる。
右脈が浮硬数(動)でまだ腠理?筋膜に邪襲で脈が硬く引き締まっていて、頸部の血流還流を悪くしているようである。
そのため、胸中~心下に鬱熱がたまり、食後の胃中への心火が不降のため、食欲が進まず、その故手掌の熱感を強くしているようだ。
過去の胃切除もその遠因となっていると思われます。
現況は右肢上下が痺痛で右脈浮から陽虚(湿鬱)陰凝が中心のようで、左肢であれば多くは陰虚絡熱が中心かと考えます。前額の湿疹は湿遏熱伏が外表に出てきたものと思われる。
【金匱要略・痙湿噎病】「湿家、身煩疼、加與麻黄加朮湯、発其汗為宜、慎不可以火攻之」 湿遏熱伏の火熱が内攻して湿と結合しないように苦平の芍薬を多く入れて気平の秋収金気で清肺して伐肝して相火を煽火せず「利小便」で湿及び熱を下焦へ洩くを考えます。
【傷寒・陽明病】「傷寒淤熱在裏、身必発黄、麻黄連翹赤小豆湯主之。」 表鬱と三焦湿熱(湿遏熱伏)で元来の脈渋や過去の脳梗塞から厥陰血管細絡に瘀熱があり、今回、外感により表に於ける邪散できずに湿疹等で一部(前額陽明部位)浮表してきてものと思われ、少しく腠理を開達(外感寒邪に感応した湿を除く)に今回のみ少量の炙麻黄と宣肺水道通調の杏仁、白朮(越婢加朮湯)をあと、湿遏熱伏を桑白皮(湿疹がおさまれば桑茶で上肢のしびれに対応)と連翹と赤小豆で対応し、傷寒後の心胸痞悶脹満があるので橘皮枳実生姜湯を〈茯苓飲)加味して痰濁阻滞に配慮するを考える。