【創業33年漢方専門薬局】不妊症や様々な病気を東洋医学的観点から根本的解決へと導きます

黄耆の一考

黄耆は補中益気湯や十全大補湯、黄耆建中湯、黄耆桂枝五物湯などに用いられます。 当薬局でも虚労病を中心に一番多く使う薬草です。

【黄耆】気微温。味。無毒。「主癰疸久敗瘡。排膿止痛。大風癩疾。五痔鼠瘻。補虚。小兒百病。酒炒醋炒蜜炙白水炒」 黄耆氣微温。稟天春升少陽之氣。入足少陽胆經。手少陽三焦經。味甘無毒。稟地和平之土味。入足太陰脾經。氣味倶升。陽也。

・黄耆の色は黄色で味は甘い、土の色味なり。

・黄耆は非常に土深く根ざし、土気の厚みを得て、大いに脾を補う。今人は身中綱膜は三焦を知らず。綱膜上の膏油を知らず。是は脾の物、膜と油と相連なるを知らず。黄耆は脾土を補い、三焦の理に達する。綱膜これ三焦をよく知る。膏油は脾土に属す。

・則ち黄耆は脾経に帰し、三焦の理に達するを知る。<唐宗海 本草問答>  臨床上では気虚による気耗すると血中の営気不足で 大気下陥の脈はたいてい緩脉か遅脈がみられることが多い。「参西録」では大気下陥で衛気を吸摂できない。黄耆は胸中の大気(宗気、肺葉開閉の原動力)下陥を治す。発表薬と同用すると外風を除去、養陰清熱薬と同用すると内風を 熄める。と書かれています 。

黄耆は其の体は極めて鬆で内に水気孔道が大で根が長く、数尺になり、土(脾)中に深く入り、水を引くは気を引く。根中の虚鬆竅大は水気を極めて多く引く。故に気盛んで補気する。また黄耆は三焦油膜の中薬で気海より托裏達表し上行外通する。と考えられる。三焦相火(水中の陽)は少陽で半表半裏で中通するのが黄耆と考えられる。

黄耆の托裏達表・上行外通・半表半裏の中通から、三焦は大小聚散し出入貫布する組織構造を包括し、中空器官で膜状組織によって連結して、各臓腑に粘着して包み込み、臓腑の間隙と分肉の間に出入し、臓腑の物質輸送と機能調節における主要な通路であり、さらに油膜により津液還流や温かい、流れる気および火のエネルギーを適度に流失しないように保護しているが、この空間通路を肥やしていくのが黄耆の重要な働きと思われる。

命門堂 前田